元格闘家が作る「酒に合って少し変わったカレー」の中身 ——幡ヶ谷「Curry&Spice 青い鳥」店主・澤田健壱さんインタビュー
冷凍カレーのお取り寄せ通販を行う、東京・幡ヶ谷にあるCurry&Spice 青い鳥の店主澤田健壱さんへのインタビュー。スパイスカレーに出会うまでのライフストーリーや、街の人気店になった経緯や、冷凍お取り寄せカレーへの思いまで語っていただきました。
幡ヶ谷の商店街。路地の一角、歴史がありそうなビルの2階。そこに「青い鳥」はある。取材当日はあいにくの雨だったが、店内はほぼ満席だ。
店主の澤田健壱さんは、いい笑顔をしていた。会計を済ませて帰るお客に向かいにこやかに「またー」と声をかける。カレーを食べ終わった2人組のドリンクの追加注文を受けると、タイミングよく会話に入りながらドリンクをさっと作り提供していく。
澤田健壱はがっしりした体格だが、親しみやすい人柄だ。お笑い、音楽、映画、サーフィン——などお客との話題が尽きない。

幡ヶ谷Curry&Spice青い鳥のこだわりについて 

常連さんが多いのですね

雰囲気とこの空間を総合的に楽しんでもらいたいなと思ってやっています。もちろんカレーの味を1番に考えてますが、店の雰囲気とこの空間を楽しんでもらいたいと思ってやっています。

カウンター越しにいろいろなお客様とお話するのは楽しいですね。常連さんどうしが自然に喋りはじめて、人間関係がつながっていくこともあって、それも嬉しいですね。

コロナ前は、お酒も出していました。カレープレートをつまみに飲むのが好きなお客さんがたくさん来てくれてね。

もちろんカレーだけのお客様も大歓迎ですよ。

内装やロゴデザインもとても素敵ですね。

オープン当初に、北インドを旅行した時に買ってきた小物や旗などを装飾に使ってます。鳥の小さなお人形などのグッズはお客さんが持ってきてくれたものです。

Tシャツは、バンドYogee New Wavesのベーシスト上野君が描いてくれました。左がインドの国旗で、右がスリランカの国旗です。お店のロゴや看板は、友人の水野くんがデザインしてくれました。

青い鳥 カレー

お店で売っているシブヤビールは、彼の働いている飲食店やライブハウスを運営するLD&Kがプロデュースしたクラフトビールですね。

青い鳥のオープンからこれまでについて

2015年オープンですが、どのような経緯でお店を始めたのですか?

実は3年前に離婚したんですが、このお店はもともと妻の千絵さんと一緒に始めたんですよ。千絵さんはヨガインストラクターの資格を持っていて、インドやスリランカも好きな人でした。「青い鳥」のレシピの原型やコンセプトは彼女が作ったんです。

幸せをもたらす青い鳥を店名にして「幸せな空間を作りたい」という千絵さんの思いと、僕が好きなインドのビール「キングフィッシャー」の日本語名が青い鳥のカワセミだということで、意見が一致して店の名前にしました。

うちのスリランカカレーやインドカレーに重ね煮を合わせる重ね煮カレーは千絵さんが考えました。野菜やきのこを水を使わないで煮込む「重ね煮」という製法をインドやスリランカのカレー合わせるんです。これで「青い鳥」らしい味を作ることができていますね。

千絵さんは今地元の別府に「青い鳥∞黄い蜂」って名前のカレー店をやっています。今でも普通に仲いいですよ(笑)。3年前に離婚することになって本格的にカレーを教えてもらいました。

別れたあとには「卒業旅行」兼「引き継ぎ&研修旅行」ということで、2人でインドとスリランカを旅しました。そのときに色々な現地の家庭やお店で実際に現地のカレーづくりを見せてもらったり、教えてもらったりもしました。

青い鳥と幡ヶ谷について

青い鳥 カレー
お店がある幡ヶ谷はどんな街ですか?

とてもいいですね。実は、特に深い理由はなくたまたま物件が空いていたので決めたのですが、幡ヶ谷で本当に良かったと思っています。魅力的な個人店もあり行き来したりして居心地が良いんです。

コロナ禍の中、1年たちました。お店の変化はありましたか?

コロナ前は、本当にバタバタと忙しくやっていましたね。早朝6時から仕込みして、11:30にお店開けて、14:45にランチラストオーダーで、またディナーの準備して、17:30からディナー開始して。いちおう21:45ディナーもラストオーダーなんだけど、お酒を楽しんでくれるお客さんが来るとそのままゆっくり営業したり。気がついたら24時になっていたり。自分はお酒が大好きなので、そのまま一緒に飲みはじめて、やっと深夜に営業終了。

そして次の日もまた6時にお店に来て仕込み始める。なんてことがよくありました。

コロナの影響で夜の営業ができないので、ゆったりした気持ちになって、時間ができたので逆に新しいことを考えることができました。それで冷凍カレーの通販を始めることになりました。

格闘家・そして青い鳥のカレーの道へ

そんな生活で、きつくありませんでしたか?

正直、そこまできつくないです(笑)。僕、もともと総合格闘家で21歳から40歳になるまで約20年戦っていましたからね。

ええっ! それで立派な肉体なんですね。

打撃も組技もOKの修斗やZSTっていうジャンルの総合格闘技で、いつもかなりきついトレーニングをやっていました。その頃に比べれば、大丈夫ですね(笑)。

「青い鳥」を始めた頃は、格闘家をやりながらでしたからね。40歳で20代の人と戦ってから店に戻って普通に営業していました。

お酒に合う青い鳥のカレー

「青い鳥」のカレーはお酒にも合うそうですね。

カレープレートで何杯も飲んで行かれる方もいますね。チキンピクルスっておつまみもありますし。

「青い鳥」では、実はお酒の方も、カレーに合うに揃えているんです。コーヒー焼酎、スパイス梅酒、ラッシーワイン、キンミヤラッシー割、カシスラッシーとかね。カウンターに置いている大きなジャーに入っているのが、コーヒー焼酎とスパイス梅酒です。コーヒー焼酎のコーヒー豆にはエチオピアのコチャレを使ってます。

お店での人気のカレーについて教えて下さい

週替りにインドカレー、スリランカカレーを提供しているのですが、インドカレーの定番は海老のココナッツカレーで、スリランカカレーの定番は鯖のココナッツカレーですね。

青い鳥 カレー
カレーを作るのは楽しいですか?

季節の野菜を野菜を見てアイデアが出てきて新メニューを作ったりします。そこで「美味しい!」というリアクションをもらえると、本当に楽しいですね。

例えば最近だと、宮崎産のニラをもらって、「脂が合うだろう」と考えて作ってみた豚ニラカレーがあります。ニラが強いのでスパイスの配合も工夫して変えたりしながら。

今後の展望についてお聞かせください

今はコロナ禍でお酒も思うようには出せません。早く、カレーをつまみに思う存分お酒を楽しめる日が戻って欲しいですね。それまで通販で、お店の味に親しんでもらえたらと思っています。

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