コンカッセとは?アッシェの意味は?フランス語の切り方まとめ
みじん切りを表すコンカッセやアッシェ、さいの目切りを表すブリュノワーズやサルピコン、香味野菜の切り方ミルポワなど、フランス語の切り方の種類や意味を解説。また、切り方名から派生したアッシェ・パルマンティエ、サラダ・マセドワーヌ等の料理も紹介。

世界三大料理の一つに挙げられるフランス料理。長い歴史と伝統を持ち、多種多様な料理、調理法、調理器具を生み出してきました。フランス料理を学ぶ際に、覚えるべき単語の多さに面食らった方もいるのではないでしょうか。

本記事では、フランス料理の重要な調理法である「食材の切り方」について解説していきます。食材を切ることは料理の基本中の基本。フランス料理に関して深く知りたい方、実際に作ってみたい方はぜひ参考にしてください。

野菜の切り方に関するフランス語の意味

まずは、野菜の切り方を見ていきましょう。食材の種類が豊富なので、切り方もさいの目切り、みじん切り、千切り、薄切りなど数多くあるのが特徴です。

デ、ブリュノワーズ、サルピコン、マセドワーヌ

フランス料理の切り方で、沢山の種類があるさいの目切りです。切った時の大きさによって名前が変わるので、一つ一つ覚えていきましょう。名前と、それぞれの切り方の定義は以下の通りです。

デ dés

さいの目切り、角切り。特に指定はなく、大きな1cm角ほどのポピュラーなさいの目切りを指します。

ブリュノワーズ brunoise

2~3ミリ程度の小さなさいの目切りです。

サルピコン salpicón

3~4ミリ程度のさいの目切り。魚介と野菜を刻んであえたマリネの事もサルピコンと呼んでいます。

マセドワーヌ macédoine

4~5ミリ程度のさいの目切り、あるいはさいの目に合った数種類の野菜や果物を合わせる手法です。

コンカッセ、アッシェ、シズレ

みじん切りも、切り方によって様々な名称がつけられています。1cm大きさが変わるだけで、名称が変わる場合もあるので注意しましょう。実に細かく分類されており、積み上げた歴史と伝統の奥深さが感じられます。名前とそれぞれの切り方の定義が分かれば、フランス料理をより深く知ることができるでしょう。

コンカッセ concasser

野菜を粗く刻む調理法です。サイズは5ミリが基本となっています。

アッシェ haché

野菜を非常に細かくみじん切りにする手法です。水分が抜けやすいので、迅速な調理が求められます。アッシェとは、フランス語で「斧」を意味します。

シズレ ciseler

アッシェと同じく細かいみじん切りを指しますが、小さい正方形になるよう切らなければなりません。

ジュリエンヌ、シフォナード、エマンセ

千切りや薄切りにも切り方によって言い方が存在します。フランス料理の厨房では、多数ある切り方の名前とそれぞれの切り方の定義を覚えないと非常に苦労するでしょう。フランス料理を味わう際は、シェフ達の苦労と努力に思いをはせてください。

ジュリエンヌ julienne

にんにくやジャガイモなどを、マッチ棒より細い糸状にすることです。コンソメジュリエンヌという料理を作る際に行われます。

シフォナード chiffonnade

レタスやホウレン草などの葉物を千切りにする調理法です。

エマンセ émincer

様々な食材を薄く切ることを指します。フランス語で薄いを意味する「マンス」が語源です。

パトネ、ミルポワ、エプリュシェ、エモンデ、ラペ

その他にも、使用する食材や料理によって様々な言い方が存在します。名前とそれぞれの切り方の定義を確認し、フランス料理の野菜の切り方を網羅しましょう。

長い歴史により、当初とは意味の違う言葉もあるので注意が必要です。ミルポワという言葉は、そもそもブイヨンを作るための香味野菜自体のことを指していましたが、今ではその香味野菜の切り方のことも指すようになっています。フランス料理が、長い歴史を積み重ねてきたことが良くわかるエピソードです。

バトネ bâtonnets

5ミリ~1センチの厚さで食材を棒状に切る事。

ミルポワ

野菜を1センチ程度のサイコロ状に切る事。

エプリュシェ épulucher

食材の皮や殻をむき、下ごしらえをする事を指します。

エモンデ émonder

トマトなどの素材を熱湯で数秒くぐらせた後、冷水で冷やして皮をむく作業。

ラペ raper

食材をすりおろす。千切りにしたにんじんをドレッシングで和えたものは「キャロットラペ」といいますが、「ラペ」自体はすりおろすという意味なので注意が必要です。

エスカロップ、フィレ、ダルヌ、トロンソン、メダイヨン

野菜の切り方をマスターしたら、肉や魚の切り方を勉強していきましょう。肉や魚は、野菜と同じく大きさや部位によって切り方の名前が変わります。フランス料理らしく、実に細かく設定されているので、勉強する際は間違えないようにしましょう。

エスカロップ escalope

肉や魚を斜めに薄く切る事。

フィレ filet

ひれ肉。あるいは、魚を三枚におろして骨を除いた後の上身。

ダルヌ darne

魚の頭を切り落として内蔵を抜いた後、輪切りにする調理法。大きな魚をさばく時に行われる。

トロンソン tronçon

食材を輪切りにする事。木材に対しても使われる言葉。

メダイヨン medaillon

肉をメダルのような円形にカットすること。

アッシェ・パルマンティエ、サルピコン

最後に、食材を切る言葉が料理名になった例をご紹介しましょう。料理と調理法は密接な関係を持っており、調理法の名称が料理そのものを指すようになった例も珍しくありません。そのような関係を踏まえてフランス料理を味わいましょう。東京でおすすめ店も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

アッシェ・パルマンティエ

アッシュ・パルマンティエとは、細かく切ったお肉をじゃがいもと一緒にオーブンで焼き上げた料理です。アッシェとは、さきほど解説したように細かく切る(みじん切り)という意味があります。パルマンティエはフランスの農学者の名前で、フランスで一般の人にじゃがいもを広めた人物です。フランスではその功績から、じゃがいもを使った料理をパルマンティエ風と呼んでいます。

銀座にある22 (トゥ・トゥ)、神楽坂の「メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ」、多摩の野川駅にある「アン・プティ・ポン」などが有名です。

銀座22のオフィシャルホームページはこちら 神楽坂のメゾン・ド・ラ・ブルゴーニュのオフィシャルホームページはこちら 野川駅のアン・プティ・ポンのオフィシャルホームページはこちら

サルピコン

サルピコンには食材をさいの状に切った和え物という意味がありますが、 魚介とタマネギなどの野菜を細かく刻んであえたマリネであるスペイン料理もサルピコンと呼びます。フランス語が、スペイン料理の名称になる珍しいパターンです。

食べられる東京のお店として赤坂の「バルマル・エスパーニャ」、北千住の「ボケロナ」などがおすすめです。 赤坂のバルマル・エスパーニャのオフィシャルホームページはこちら 北千住のボケロナのオフィシャルホームページはこちら

サラダ・マセドワーヌ

サラダ・マセドワーヌとは、プティポワや空豆、いんげん、新にんじん、新じゃが、ラディシュなど、フレッシュ野菜をさいの目に切って茹でて、マヨネーズと混ぜた料理です。マセドワーヌとはフルーツや野菜を1センチ角に切ることですが、いつしか数種類の果物や野菜を混ぜ合わせたサラダ料理を意味するようになりました。

食べられるお店として、「フレンチカフェレストラン 神楽坂 ル コキヤージュ」が有名です。

神楽坂 ル コキヤージュのオフィシャルホームページはこちら

ステークアッシェ

ステークアッシェとは、牛のひき肉100%のフランス版ハンバーグです。通常のハンバーグとは違い、つなぎが無く肉本来の味を楽しめます。フランスでは手軽に食べられる肉料理として人気があり、フライドポテトと一緒に食べる事が多いです。肉をひき肉にすることから、みじん切りにする意味を持つアッシェが付けられています。

食べられる東京のお店として、西麻布の「ル・セヴェロ」がおすすめです。 西麻布ル・セヴェロのオフィシャルホームページはこちら

まとめ

フランス料理には、素材や料理によって、ここに紹介した以外にもまだまだたくさんの切り方が存在します。フランス料理のレシピを読むのに苦労されている方、フランス料理店で働き始めたばかりの方など、まずはここで紹介した基本的な用語から覚えてみるのはいかがでしょうか?