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フレンチレストランやビストロでオーダーする「パテ」「テリーヌ」「リエット」。 オードブルやバゲットのお供として楽しむことが多い一品ですが、どれもペースト状になっており、正直「違いがよくわからない」という方も多いかと思います。
そこで今回は、「パテ」「テリーヌ」「リエット」の違いを分かりやすく簡単に解説。知っていればちょっと自慢できる豆知識も含めてお伝えいたします。後半では一度は行っておきたいオススメのお店も紹介。 もうこれでオーダーの時に「モヤモヤ」っとすることは無くなります!
「パテ」「テリーヌ」「リエット」それぞれの意味の違いとは?
それでは早速それぞれの違いを解説します。 まずは以下の違いを頭に入れてください。 - パテとは「焼き」 - テリーヌとは「型」 - リエットとは「煮る」
パテとは「焼き」
パテの語源はフランス語の「pâte(パート)」(パイ生地)
パテとは本来、細かくした肉などをパイ生地で包み、オーブンで焼いたもの。 そのためフランス語でパイ生地を意味する「pâte(パート)」からパテという名前になったと言われています。
テリーヌとは「型」
四角い「テリーヌ型」を使うのがテリーヌ
肉や魚、野菜などを細かくしたものや、ムース状にしたものを金属や陶器でできたテリーヌ型に詰めた料理を「テリーヌ」と呼びます。
ちょっと大雑把なのですが、このテリーヌ型さえ使用すれば、基本的に「テリーヌ」と呼んでいいことになっているのです。
テリーヌ型を使ったパテは「テリーヌ」or「パテ」?
ではテリーヌ型を使って作ったパテは、「テリーヌ」なのでしょうか、「パテ」なのでしょうか?
答えは、「テリーヌと呼んでもパテと呼んでも良い」となります。 テリーヌ型を使っている限り、テリーヌと呼ぶのは間違いではないということなのです。
ただこれだとかえって混乱してしまうので、簡単な見分け方をお伝えしておくと、肉とレバーのペーストを焼き固めたものが「パテ」です。そのためパテは基本的に肉の色をしていて、単色です。
一方テリーヌは肉の他に魚や野菜を使ったものもあります。また、それらの具材をゼラチンで固めたものもあるので、断面がカラフルだったりします。
最近では「練り物」一般をパテと呼ぶことも
本来パイ生地に包んでオーブンで焼くパテですが、最近ではその辺りが曖昧になっていて、ペースト状の「練り物」を一般名称として「パテ」と呼ぶことも多くなっています。
これが混乱する元なのですが、「パイ生地」「焼く」という基本さえ覚えておけば、余裕を持って美味しくいただくことができるはずです。
リエットとは「煮る」
豚肉などを「煮て」作るのがリエット
リエットとは豚のバラ肉や肩肉に塩を振り、ラード(豚の脂)で柔らかく煮込んだものをほぐし、脂肪分でペースト状にしたものです。リエット(Rillettes)はフランス語で「豚肉の塊」という意味です。
パテとの最大の違いは「煮る」という点。またテリーヌのように四角く成形されてもいません。
おすすめレシピ・調理法
パテ・ド・カンパーニュ
パテ・ド・カンパーニュは田舎風の(カンパーニュ)パテという意味の人気料理。豚肉にレバーを合わせているので、肉の美味しさを存分に味わうことができます。
ここではジビエ料理で有名なレストラン「オギノ」のレシピを簡単にご紹介します。
- 鍋にオリーブオイルをひき、玉ねぎ、にんにく、パセリ、マッシュルームを炒めます。しんなりしたら牛乳を加え、汁気がなくなるまでしっかりと煮詰めてその後粗熱を取ります。
- 1をフードプロセッサーで滑らかなピュレ状にしてボウルに移し、冷やしておきます。
- 鶏レバーをフードプロセッサーでピュレ状になるまで細かくします。
- ボウルに2と3、豚のひき肉、赤ワイン、塩・胡椒、牛乳、卵を加えて糸を引くくらいまで練り上げます。
- 4を耐熱皿に移し、ローリエを散らしてアルミ箔で覆います。
- ここがポイント!お湯を張ったバットに紙タオルを敷いて、5を乗せ、160℃のオーブンで約1時間蒸し焼きにします。この湯せんしながら蒸し焼きにするというのがポイントで、こうすることによって、パサつかず、しっとりと滑らかな仕上がりになるのです。
- 焼きあがったら常温まで冷まし、その後冷蔵庫で保存します。
これとバゲットがあれば、赤ワインが何杯でも飲めてしまう美味しさです。
「オギノ」によるパテ・ド・カンパーニュの詳しいレシピはこちら
フォアグラのテリーヌ
世界三大珍味であるフォアグラのテリーヌのレシピを紹介します。
- 新鮮な生のフォアグラを用意する。冷凍物だと味がかなり落ちます。またあまり大きいものは質が良くない場合が多いので避けます。
- フォアグラに入っている血管をしっかりと取り除きます。しっかりと取り除いておけば、血抜きなどをする必要はほとんどありません。
- ボールにフォアグラを入れ、塩・胡椒、コニャック、ポートワインを加え、冷蔵庫に入れて一晩マリネします。
- テリーヌ型にフォアグラを隙間なく入れ、蓋をしてお湯の入った器に入れます。
- 120℃のオーブンで12、3分湯煎します。
- オーブンから取り出したら蓋を取り、テリーヌ型にすっぽりとハマる板を置きます。そしてその上から重石を乗せ、脂分を十分に絞ります。
- この脂の上澄みのキレイな部分をフォアグラの上に適量回しかけ、冷蔵庫で48時間寝かせます。
- 出来上がり!
豚のリエット
豚のリエットのレシピを紹介します。 1. 豚バラ肉に塩をしっかりと揉み込む。 2. 30分ほど置いておいた豚バラ肉を、弱火でまんべんなく焼き色をつける。 3. にんにく、玉ねぎ、タイム、ローリエ、白ワインを入れて、弱火で2時間ほど煮込む。 4. 弱火で煮込んでいると豚から脂が出てくる。この豚の脂(ラード)で煮込むのがポイント。 5. 具材と煮汁・脂を分け、煮汁・脂はボウルに入れて氷水などを当てて冷やして固める。 6. 肉の部分は手で粗めにほぐし、脂身は包丁で叩いてから混ぜ合わせる。 7. 5で冷やし固めた煮汁・脂は、煮こごりとラードに分離しています。この旨味の詰まったゼリー状の煮こごりだけを取り出し、6と混ぜ、黒胡椒を振って更に混ぜ、容器に詰めます。 8. 分離していたラードを火にかけて溶かし、7の上にかけ冷蔵庫で冷やします。このラードが固まって蓋の役割をして、保存が効くようになるのです。
元々は保存食 ストックしておいてアレンジを楽しもう
ポークリエットは元々保存食として作られました。そのため冷蔵庫に入れておけば、2〜3週間は十分に保存が効きます。
またちょっと多めに作り置きをして、様々な料理にアレンジすることもオススメ。
トマトソースにリエットを加え、黒オリーブを散らしたトマトソースパスタはお手軽なのに絶品です。
食べられるお店の紹介
オーガニックレストラン オギノ(OGINO)
東京でジビエを出すフレンチと言えば、必ず上位にその名が上がる名店オギノOGINO。 実はシャルキュトリーの専門店テーブルオギノ(Table Ogino)もグループとして経営しており、その双方でパテ・ド・カンパーニュが看板メニューとなっています。 日本人の舌に合うように豚レバーではなく鶏レバーを使い、更に牛乳を加えてソフト仕上げたパテ・ド・カンパーニュは正に絶品! Table Oginoはテイクアウト店なので、自宅でお気に入りの赤ワインと合わせるということも可能です。
OGINOのオフィシャルホームページ Table Oginoのオフィシャルホームページ
アジルジョーヌ・テラス
アジルジョーヌ・テラスは「魔法のフォアグラ」を提供すると言われる麻布十番の名店エルブランシュの姉妹店。
エルブランシュで使われるフォアグラの端っこを使い、極上の味をカジュアルに楽しむことができます。
極上フォアグラの端っこを使って作られたフォアグラ100%のテリーヌは口の中でネットリと溶け、舌触り滑らかに喉の奥に流れて行くリッチな味わいです。
パークハイアット東京 デリカテッセン
ホームパーティに招かれた時には小洒落た手土産の一つでも持っていきたいものです。そんな時にぴったりなのが、 パークハイアット東京 デリカテッセンのリエットやパテ。
かわいいイラストが描かれている白い陶器に入ったリエットやパテは、パーティーで喜ばれること間違いなしです。 中でもオススメはポークリエットとダックリエット。豚肉のしっかりとした食感が残りつつ、口当たりも滑らかなポークリエットは、ブラックペッパーがピリッと効いた鉄板の味。
一方鴨肉独特の味わいに、フォアグラの風味や脂が濃厚に効いたダックリエットは、塩味が薄めでも重厚感があり、重めの赤ワインとのマリアージュを楽しむことができます。
パークハイアット東京 デリカテッセンのオフィシャルホームページ
まとめ
パテ・テリーヌ・リエットの違いを解説しましたが、いかがだったでしょうか?パテは「焼く」、テリーヌは「型」、リエットは「煮る」という意味を知ると、違いが分かりやすくなります。また、パテ・テリーヌ・リエットを食べられるお店も是非参考にしてみてください。